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MotoGP 2013年以降のレギュレーション協議中:2015年には全マシン同レベルに

Category: MotoGP  
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先週末の23日から25日までの期間、ヘレスでプレシーズンテストが行われたわけですが
その際に、MotoGP運営会社DornaとMSMA(モーターサイクルスポーツ製造者協会:つまりHonda、Yamaha、Ducati)と今後のレギュレーションについて議論が行われました。

このミーティングについてDornaのCEOのエスペレータは以下のようにコメントしています。

「これまでの数回の協議の中で、チャンピオンシップの理念について議論した。興行性を考えつつ、どのようにして経済的な点からチャンピオンシップを改善していけるかを議論した。我々からメーカー側(MSMA)に提案し、いくつかは受け入れられ、いくつかは反対された。彼らの主張をよく考えた上で、カタールでの交渉の場に臨み、チャンピオンシップを経済的に妥当性を保った上で良くできるか、合意に至りたいと思う」

MotoGP.com:Dorna Sports SL and MSMA discuss further MotoGP™ cost reductions

さて、具体的にはDornaとMSMAでどのようなレギュレーションの変更が議論されたのでしょうか?
その内容を以下に詳しくみていきたいと思います。




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Twowheels:Dorna's proposals to save MotoGP

上記記事において、Dornaが提案した内容がまとめてあります。以下上記記事参考に箇条書きにします。

1.ワンバイクルール
Moto2、Moto3やBSB、そして今年からはWSBKでもそうなったように、一人のライダーに対してマシンは1台とするものです。これによる影響は、雨などの天候の変更により、一度ピットでタイヤとカーボンブレーキの変更などの作業が生じることとなります。

2.エンジン仕様可能数:5機
エンジン仕様可能数は数年前より順次導入されてきた制度で、現在はファクトリーチーム、サテライトチームは年間6機と制限されています。今年からの新制度で登場したCRTマシンは年間12機使用できます。年間台数5機はCRTマシンは除外される可能性が高いとのことです。

3.マシンリース料金の上限設定
現在、サテライトチームがメーカーからマシンをリースしてくるにはおよそ年間200万から400万ユーロかかかっており、チームの財政事情を圧迫しています。

この問題について、リースの際の金額を100万ユーロ(約1億円)とキャップ(上限)を設定しようというものです。
これについてMSMAメンバーでは意見がわかれているようで、Yamahaはできると言い、Ducatiは現在の技術レベルを保てないと言い、Hondaはノーコメントだそうです。

4.メカニックスタッフ数の削減制限
上記1.のマシンだけではなく、メカニックスタッフにも削減を求めるようです。これには信頼するメカニックを失うこととなりかねないライダーから反発もありそうです。また、上記1.の1マシン制になればピット作業は増えるため、そこをどう手当てするのかという課題も指摘されています。

5.レブリミット制限
かねてより俎上にあったエンジン回転数制限ですが、14,500 to 15,000rpmでの制限が検討されているとのことです。この制限の意義の一つは、安全性を考慮しての最高速の制限がありますが、もうひとつは市販車ベースのエンジンを使用するCRTマシンとの差をうめるためであると考えられています。

6.統一ECU
電子制御の頭脳と言えるECUを全メーカー・マシンで統一するという提案ですが、MSMAからは反発が予想されています。電子制御技術はいまや無くてはならないものとなり、長年のデータの蓄積によるノウハウの集積で、これもまたマシンとチームの重要な戦力の差として捉えられているため、その差を緩和しかねない統一ECUには反対なのでしょう。

参考:11月26日記事:MotoGP エドワーズが語るCRTマシンの課題:電子制御技術

一方で、電子制御技術の過度の導入に冷めたファンにとっては肯定的に捉えられるかもしれません。

以上、議論された項目についての詳細と、その影響についてみましたが、実際の交渉の場ではどのような決着がついたのかを以下でみていきたいと思います。

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MCN:Dorna not at war with factories over radical rule changes

上記議論の内容について、MCNの上記記事でYamahaのTech3のボスであるエルベ・ポンチャラルが詳細を語っています。
彼によると、1.の1ライダー1マシン制は来年の2013年より導入されることは固いようです。
また、レブリミット制限と、マシンリース料の制限は現在議論中都のことです。
エンジン仕様可能機数の制限を5台にする話については、変更は決まっているようですが、いつからかは記述がありませんでした。

ポンチャラル曰く「ワンバイクルール(1ライダー1マシン制)については妥協できたようだ。目的はコストの低減であり、MSMAもひとつの提案だと指摘しており、来年からは1台になりそうだ」と来年からのワンバイクルールの可能性をかなり確実性をもってコメントしています。

また、マシンリース料金については、「エスペレータはこの点については語気を強め、サテライトチームに対し、1万ユーロ以上でマシンを借り受けないよう強く要求しました。我々が1万ユーロを提示した場合、メーカーは受け入れざるを得ないということについて、彼は明確にしました」とのことで、このリース料金へのキャップ導入はDornaの強い意志があるようです。

また、これらのレギュレーションの導入について、エスペレータは5月中にまとめて、6月にオフィシャルにしたいと考えており、新レギュレーションは段階的に導入され、2015年には全員が同じレベルにあるよう、目指すとのことです。

CRT制度について、現在のファクトリーマシンとCRTマシンとの差を以下にして埋めていくかという点についてポンチャラルは、「これから徐々に(対策が)決められていくと思うが、マシンの最低重量は来年から160Kgになるだろう。そしてその他の対策も今後毎年導入されていき、2015年には全マシン(チーム)が同じ(レベルの)装備となるだろう」とのことです。




以上のように、お互いの立場からの主張が錯綜し、まだ全体的な合意には至ってはいないようです。
差し当たり、導入の実現性が確実かと思われるのは、ワンバイクルールと最低重量の160Kgへの変更でしょうか。
リース料の上限については、まだもう少し議論をしなければならないような雰囲気があります。

さて、ここで一度「お互いの立場」というのを整理しておかないとこの話、よくわからないことになってしまいます。

まず背景には、2008年あたりから世界経済危機が起こり、殊更にMotoGPのメイン市場であるヨーロッパは未だ経済情勢がくすぶっていると言う状況があります。
これにより、メーカー、チーム等の収益性が悪化し、KawasakiやSuzuki等の撤退が相次ぐこととなりました。
また、スポンサー企業も同様に収益性が悪化したため、チームやライダーにスポンサーがつかないという状況も発声しました。

参考:2月10日記事:MotoGP チーム・ライダーの苦しいスポンサー事情

こういった状況により引き起こされる最悪のシナリオは、高コストが故に誰もMotoGPに参戦しなくなることです。
運営のDornaはレギュレーションの変更によりコストを抑え、より低いコストで参戦できるよう施策を打ち始めます。

使用エンジン機数の制限等や、ブリヂストンのワンメイクタイヤ制度の導入などが当初より進み、今年からは市販エンジンを使用し参戦できるCRT(クレイミング・ルール・チーム)制度の導入にこぎつけ、今年からは9台のマシンが参戦することとなりました。

Dornaとしては、CRT制度を成功させ、さらにチームを呼び込みたいと考えていおり、そのために何としてもファクトリーマシンとの差を埋められるレギュレーションの策定に意気込んでいるというのげ彼らの立場です。

一方、メーカーとしてもDornaの考えには理解を示し、改革の必要性には同調しながらも譲れない部分があるようです。
彼らの主張としては、まず根本的にレギュレーションをころころと変えられては開発コストがかさむので困るということもあり、全面的なレギュレーション変更には得てして否定的な所があります。
そして恐らく最大の同調し得ない理由としては、技術開発の場としての意義を失われることにあるかと思います。
最高峰のレースの場において自社の最先端のテクノロジーを試し、それを市販車にフィードバックするという意義がCRT制度に代表される、コスト重視のレギュレーションによって失ってしまうという懸念があり、否定せざるを得ないということです。
また、メーカーとしては最高峰の技術を導入したマシンでレースに勝つことにより、自社のブランドアピールをするという、宣伝としての意義も失われることも懸念することでしょう。また、ファンが技術的進歩の止まったレースに興ざめしてしまわれても困るということも言えるかと思います。

しかしながらいずれにせよ、目指す方向性については皆「コストを抑えた上で興行性をも高めていく」という方向で合意はしているものと思われます。
では、具体的な施策でどうバランスとりながら実現するのか、まだまだ議論は続きそうです。


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テーマ : モータースポーツ    ジャンル : 車・バイク


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