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バイク業界の並行輸入への対応:板挟みの構造

Category: 世界のバイク事情  
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「並行輸入」といういう言葉はよく時計やブランド品などで聞くことがあるかと思います。

Wikipediaによると
「海外商品を輸入する際、商品製造会社の子会社や正規の契約を結んだ代理店が輸入・販売するのではなく、他の業者が輸入すること。」

とのことです。
往々にして、並行輸入品は安いことが多いため、正規代理店とはもめることとなります。

さて、バイク業界でも当然この問題は存在しており、しばしば軋轢を生じることとなります。
2輪業界にはどういった影響があるのか、考えてみたいと思います。

詳細は以下から。


1.ディーラーとメーカーとの衝突

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CMG:Harley sued over international sales policy

Cyril Huze Post :Fast Motorcycle Industry News

ケーススタディとして、Harley-Davidsonのカナダとアメリカでの例と見てみることにします。

現在、USドルとカナダドルにおいて、カナダドル高傾向が継続しており、これによりカナダの消費者がアメリカのハーレーのディーラーより国境を超えてパーツ等を購入しているとのことです。

この状況に対して、アメリカのハーレーのディーラーはハーレー本社より、カナダへ商売を行えばその販売件(ディーラーシップ)を剥奪すると宣告されているようです。
ハーレー本社の狙いは当然ながら、カナダの自社ディーラーの売上を守るためであります。

これに対して、アメリカ国内のハーレーディーラーが噛み付きます。
米国ミネソタ州のディーラーである、St. Paul Harley-Davidsonは、ハーレー本社を相手取り訴訟を起こしたとのことです。
その訴訟はハーレーのディーラーに関する政策についてであり、彼らディーラーの商売に多大な影響があるとのことです。

ディーラー(St. Paul Harley-Davidson)の主張によると、彼らは2008年から2010年にかけて、毎年800万ドル(約6億2千万円)もの売上を第3者的WEBサイト(恐らくe-bayなど)や、域外への販売を記録していたとのことです。
そして、ハーレーの新しい政策は元々のフランチャイズ契約に対して、違法な変更であると主張しています。

つまり、ハーレーの上記のような「テリトリー外への商売の規制」によってこのディーラーは年間800万ドルの商売を失うことになり、それに対し契約違反だとして訴訟を起こしたということです。

一方で、他のディーラーは逆のことも言っているようです。St. Paul Harley-Davidsonのように、ボリュームディスカウント(薄利多売)をすることはこの産業に害となり、またテリトリー外への販売は他のディーラーの商売を奪うこととなり、良いことではないと言っているとのことです。

このように、国内のテリトリー外への商売、および海外への並行輸出による商売は、ディーラーとメーカーの関係、自国と相手国含めた他のディーラーとの関係をギクシャクさせる行為となり、問題となります。

2.並行輸入の法的解釈は?

ところで、上記のアメリカのケースは「テリトリー外への販売」が焦点となっていますが、これらを日本より利用することはどうなのでしょうか?

日本のケースで考えれば、公正取引委員会が以下のような指針を発表しています。

公正取引委員会:流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針

・並行輸入は一般に価格競争を促進する効果を有するものであり、したがって、価格を維持するためにこれを阻害する場合には独占禁止法上問題となる。

この「阻害」する行為には、「海外の流通ルートからの真正商品の入手の妨害」、「販売業者に対する並行輸入品の取扱い制限」、「並行輸入品を取り扱う小売業者に対する契約対象商品の販売制限」、「並行輸入品の修理等の拒否」が挙げられており、いずれも独占禁止法に触れるとの解釈のようです。

これらを見るかぎり、例えば日本の販売店が海外からあるメーカーのバイクを仕入れてきて、それを販売したとしてもメーカーはそれを止めることは禁止されることとなります。

また、極めて個人的な経験から言えば、外為法やテロ対策法等、他の法規制に引っかからない限り、メーカーがディーラーに対し、域外への商売を禁止する手立ては無いかと思います。

以上まとめると、「域外から買ってもいい」はOKで、「域外へ売っちゃだめ」も上記のように係争中ですが、おそらくOK(あくまで筆者の個人的観測)となります。

3.適正な価格と顧客視点を

このように込み入った問題が生じている背景には、単純に国(地域)によって価格が違うことがあげられるでしょう。
国によって違う、為替、物価、人件費を基本要因として、物流コスト、広告宣伝コスト、アフターサービスコストなどが違うため価格に差が生じます。また、在庫を抱えればメーカーやディーラーは在庫処分で価格を下げる為、局所的な価格下落要因もあります。

並行輸入・輸出業者はこのチャンスを商機捉えて、ビジネスとしているということです。

ある国や地域を任されているディーラーからすれば、並行輸入・輸出業者は目の敵になります。
その地域におけるプロモーション等の販促活動費や、アフターサービスに関わる費用などを掛けずに、販売の良いところだけを掠めとっていく業者はまさに「タダ乗り」となり、不公平と感じることでしょう。

かといって、それを禁止すれば、独占的販売権を有しているディーラー(や代理店)が価格を釣り上げたままの殿様商売をすることも考えられ、消費者にとっては必ずしも喜ばしいことではありません。
また、販売力の高い並行輸入業者がいれば、その販売した車両のアフターサービス等によりディーラーの売上も高まる効果も無視できない要素となってくるでしょう。

一方、メーカーからすれば売れるものならとにかく売りたいとも考えつつも、購入してもらったユーザーには十分なケアをしたいorしなければならず、アフターサービスの準備が不十分な販路を通しての販売はできるだけ避け、且つ地元のディーラーの利益を守りたいとの意向もあるでしょう(上記ハーレー本社のように)。

いずれも板挟みの状態で悩ましい問題です。
これらについては、うまくバランスを取ったコントロールがメーカー及びディーラーに求められていることでしょう。
何れにしても、それぞれの立場の陣営が、ユーザーが適正な価格(不当に高すぎず、安すぎず)で、十分なサービスを受けられることを考えて行動すべきだと思います。こうした視点を欠き、自分勝手な行動を取れば結局自分たちの首を締めることへとつながると思います。

現在、世界各国でTPPのようなFTA(自由貿易協定)が結ばれつつあり、関税撤廃、規制調和の動きもあります(日本での欧州の排ガス規制の基準導入検討など)。
すると今後さらにモノの行き来は活発化すると考えられ、この問題もより深刻となってくることでしょう。
域内商売というこれまでの方針と手法を見直し、グローバルな取引において消費者が最大の価値を得られ、それに対して適正な対価を支払う枠組みを、各関係者は構築して行って欲しいと思います。





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テーマ : モータースポーツ    ジャンル : 車・バイク


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