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欧州 バイクカスタム規制強化の動き:ライダーの反対

Category: 世界のバイク事情  
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バイクをいわゆる「趣味材」として捉えるならば、カスタムは重要な意味を持ちます。
カスタムパーツによって自分に合ったオリジナルのマシンづくりを目指し、ライダーは常にパーツショップを練り歩き、財布と相談しているものと思います。

そこで同時に問題となってくるのが、違法改造の横行です。
これにより、マシンの安全性や環境性能などが著しく低下し、問題となることがあります。

現在欧州では二輪全体の規制の見直しの動きがあります。
その中には、バイクのカスタムについての法規制の厳格化も含まれています。

それに対して欧州のライダー達が反対を表明し、各種関係団体が反対運動を起こすという状況になっています。

果たして、バイク文化にとってどういったインパクトがあるのでしょうか?
詳細は以下から。

1.新しい法規制の内容


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European Parliament:EP works on safer rides, greener motorcycles

昨年より、欧州議会(European Parliament)において、バイク関連の新しい法規制が審議されています。
本案件は、域内市場消費者保護委員会(IMCO:Internal Market and. Consumer Protection Committee)において議論され、今年3月の聴聞会では、「現在の法規制については、(二輪の)安全性及び環境性能を高めるためにアップデートされるべきだ」とのことで合意を得たようです。

新規制の草案は以下で確認することができます。

EP:EUROPEAN PARLIAMENT AND COUNCIL REGULATION
Regulation (EU) No .../2010 of the European Parliament and of the Council on the
approval and market surveillance of two- or three-wheel vehicles and quadricycles(PDF)

この草案では、現行の法規制下において解決すべき問題点として、現在の法体系の複雑さ等を挙げ、その中に「車体の安全性」も含まれています。それに絞ってみていくと、以下3点が挙げられます。

1.ABSの義務化
2.ヘッドライトの常時点灯化
3.車体改造の制限

上記1、2についても反発はあるようですが、とりわけ大きなインパクトが予想される3.の車体改造の制限をさらに詳しく見ていきます。

2.改造規制と車体システム

改造の規制は「パワートレイン(powertrain)」全体に及ぶようです。
上記草案のArticle 18 (Measures regarding modifications to the powertrain of vehicles)によると、「パワートレイン」とは動力を生み出して、地面へ力を伝えるシステム全体のことであり、エンジンやそのマネジメントシステム、その他制御モジュール、汚染(排気)制御デバイス、トランスミッション(及びその制御系)、シャフト、ベルト、チェーン等の駆動系、ディファレンシャルギア、ファイナルギア、果てはリアタイヤにまで及びます。

これらの規制の目的として、馬力アップ等のパフォーマンス向上による安全性、及び環境性能の低下を防ぐためとしています。

そして、これが守られていることを担保するために、マシンに自己故障診断装置を導入するとのことです。
自己故障診断装置(On-board Diagnostic Systems: OBD)は既にクルマやバイクに導入されているものですが、今回はこの装置の定義は、マシンの安全性の機能および環境性能に問題が生じた場合に、インジケーターで不具合を知らせるというものです。(Article 3 Definitions:48)

これらを簡単に言えば、「マシンの動力系、駆動系に関しては改造を禁じ、自己診断装置の導入により馬力変更や排ガス値に違いがあれば、厳格に指摘するシステムの車体への導入を義務化する」ということになるかと思います。

3.ライダーの反対

これらの一見厳しすぎるとも捉えられる新規制ですが、欧州で反対運動が起きているようです。

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MCN:‘Every rider should join MCN Brussels protest’

英国では、主要なバイクメディアであるMCNや各二輪関係団体がブルッセルにおいて合同でデモを推進しています。

英国二輪連盟(British Motorcycle Federation)のChris Hodder曰く、「今回の改造規制案によって規制されるカスタムはモーターサイクルの文化において重要な意味を持っており、TVや雑誌なイベントなどでも取り上げられているものだ。」「全てのライダーはブルッセルを訪れ、政治家たちに我々の文化を守るべく戦うことを知らしめなければならない」とのことです。

このような反対の動きは欧州全域に広がっており、 Motorcycle Action GroupFEMAなどが積極的に活動しているようで、このようなデモなどのロビー活動によってこの法案の採択は遅れており、何度も可決の延期となっているようです。

MAG:10-11-2011 IMCO vote postponed again!

4.保険業界の動き

さて、話は若干逸れますが、カスタムに関しては保険の問題にも関わってきます。

MCN:Top bike insurer says: ‘No more than three mods, whatever they are’

この記事によると、英国大手のバイク任意保険会社である、Bennetts は最大で3つまでの改造しか認めないとのことです。

ユーザーは加入前にマシンのカスタム箇所を50以上のリストの中からチェックして申告するようです。

記事では、ステッカーによるドレスアップを含めて4つ以上のカスタムがある場合は即座に保険引受拒否される一方、NOSキットなどを含めて3つまでの改造ならば保険を引き受けられると端的に指摘しています。

同社のスポークスマン曰く、「現在の自社のシステムで最大3箇所のカスタムしか認めない理由は、歴史的に言って、見積もりの際に1箇所以上のカスタムを申告するユーザーは極めて少ないからだ」とのことです。

実際の運用がどの程度厳格かは置いておくとしても、やはりカスタムに関して厳しい世情になって来ていることを示しているのではないでしょうか。





個人的に、規制などのルール作りはその効果と現実的な影響とのバランスをうまく取らなければならないと思います。

今回の案で言えば、安全性や排ガスによる環境汚染の問題への対策に主たる目的があるかと思います。
しかしながら、カスタムの幅を狭めることによる趣味性の低下や、メーカー側の規制対応(ABSやOBD搭載)により、車体のコストアップの問題や、アフターパーツマーケットの産業規模縮小などの問題が挙げられます。

法案の理念自体は今の社会に求められているものと理解を得られるでしょうが、具体的な施策と運用についてはその影響をよく吟味しなければならないと思います。

しかしながら、最大の問題点はこのようなルール作りに際し、様々な基準が無いことだと思われます。

例えばパワートレインへの改造を全く不可とすることは、仮に純正パーツと同様の基準を満たすアフターパーツの取り付けはなぜ規制されるべきなのかという素朴な問いに答えることは難しいと思います。

馬力アップだけで捉えれば、現状馬力制限の無いマシンカテゴリー(フランスの100馬力規制など以外)において、社外品によるマシンの馬力アップを規制するというのは矛盾したこととなります。メーカーのモデルチェンジによって馬力がアップすることと何が違うのでしょうか?

同様のことは、上記の保険の話でも言うことができます。カスタムと一言でいっても、規制適合かそうでないのかという観点から見るのであれば、保険の引受を拒否するというのも蓋然性がある話となります。
しかしながら、規制に適合しているカスタムを施した車体がカスタムの数によって保険を引き受けてもらえないのであれば、その企業のリスク設定というものはどういう基準で行われているのか、疑いたくなります。「3つまで」などという基準も全くナンセンスということは容易に指摘することができます。

データによる裏付けのある、「何をしたらどうなるからダメ、この範囲まではOK」という明確な基準を設定した上で、その対策となる具体的な施策・運用が決められていくべきだと思います。

簡単な例では、「ヘルメットの装着により事故の際の死亡率が低減される」という統計的データがあり、「原付なら半ヘルでも良いが、馬力と速度の出る大排気量マシンでは半ヘルのような装備では不十分」という基準が設定され、そして「ヘルメット装着義務化、カテゴリー別の装備要件の設定」と進んでいくべきだと思います。


バイクに関する騒音、排ガス等の諸規制というのは時代に即した規制を順次導入していくべきだと考えています。
しかしながらそういった規制値を満たす範囲で、様々なカスタムパーツをユーザーとして選ぶことまでは規制されたくありません。

感情的、直感的にならず議論していってほしいと思います。
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テーマ : バイク    ジャンル : 車・バイク


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